【文庫本】田中芳樹(2013)『汗血公路:アルスラーン戦記4』光文社


※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。

作品情報

著者:田中芳樹
発行年月日:2013年6月20日
出版社:光文社
王太子アルスラーンのもとに、各地の諸侯や領主たちが次々と集結。瞬く間に大軍が形成されていった。新生パルス軍は、ついに西方千キロ彼方の王都エクバターナ奪還に向け出撃する。対するルシタニア軍も王弟ギスカールの指揮の下、パルス軍を上回る軍勢で迎え撃つ。大陸公路を血で染める決戦が、いま始まる!いよいよ佳境、激動の展開を見せるシリーズ第四弾! (Amazon.com より引用)


感想

★★★★★
図書館本

ヒルメスを慕うマルヤム王国のイリーナ姫や、ルシタニアの騎士見習いであるエトワールことエステルなど、ストーリーの重要人物になりそうなキャラクターが登場しましたが……。

いやいや、それよりもアンドラゴラス王ですよ!
半年以上にわたって地下牢に監禁され、拷問にかけられていたアンドラゴラス王がまさかの自力で脱出。
それも鉄鎖を引きちぎって……!強すぎる(; ・`д・´)

「半年にわたって同じ箇処に汗と小便と、それに塩味のスープをしみこませれば、ついには腐ってちぎれやすくなる。」
そういえば日本にも、味噌汁で手錠を錆びさせて刑務所から脱走した人がいたんだよなーなんてことを思い浮かべたり。

脱獄王?白鳥由栄の証言 (幻冬舎アウトロー文庫)

人質に逃げられた挙句、自らが人質となってしまったギスカール公が気の毒で仕方ない(笑)


アンドラゴラス王とタハミーネ王妃の間に生まれた子は死産だったのかな?と予想していたけど、どうもアンドラゴラス王が殺したor隠したっぽい?
「あなたが奪ったわたしの子を返して……!」と昂るタハミーネ王妃に、平然と「アルスラーンの父たる予と母たるそなたにとって、まことに吉き報せではないか」と言ってのけるアンドラゴラス王。
性根が据わっているというか面の皮が厚いというか。
まあ真相が分からないのでまだ何とも言えないのですけど。


玉座には、それ自身の意思はない。座る者によって、それは正義の椅子にもなるし、悪虐の席にもなる。
神ならぬ人間が政事をおこなう以上、完璧であることもないが、それに近づこうとする努力をおこたれば、誰もとめる者がないままに、王は悪への坂を転げ落ちるであろう。

ファランギースの言葉が染みたなあ。



↓「アルスラーン戦記」シリーズ感想
『王都炎上:アルスラーン戦記1』
『王子二人:アルスラーン戦記2』
『落日悲歌:アルスラーン戦記3』
『汗血公路:アルスラーン戦記4』
『征馬孤影:アルスラーン戦記5』
『風塵乱舞:アルスラーン戦記6』
『王都奪還:アルスラーン戦記7』
『仮面兵団:アルスラーン戦記8』
『旌旗流転:アルスラーン戦記9』
『妖雲群行:アルスラーン戦記10』
『魔軍襲来:アルスラーン戦記11』
『暗黒神殿:アルスラーン戦記12』
『蛇王再臨:アルスラーン戦記13』
『天鳴地動:アルスラーン戦記14』
『戦旗不倒:アルスラーン戦記15』
『天涯無限:アルスラーン戦記16』



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