【単行本】新井素子他(2018)『謎々 将棋・囲碁』角川春樹事務所
※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。
作品情報
著者:新井素子、葉真中顕、宮内悠介、深見黎一郎、千澤のり子、瀬名秀明発行年月日:2018年2月18日
出版社:角川春樹事務所
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感想
★★★☆☆☆図書館本
図書館で囲碁関連の本を探していたときに見つけた、囲碁&将棋がテーマのアンソロジー。
『ウルチモ・トルッコ』の深見黎一郎さん以外は、初めて読む作家さんばかりです。
ヒカ碁ファンで囲碁も初心者程度には打てる私としてはわくわくして読み始めたのですが……
1作目の「碁盤事件」であまりに独特な文体に躓いてしまって、読む手が止まってしまいました(;^ω^)
でも、2作目以降の作品は面白くて、サクサク読むことができました。
以下、作品ごとに簡単な感想を。
新井素子「碁盤事件」
アラフォー夫婦の家で、妻が碁盤の角に頭をぶつけて倒れてしまうという事件が発生。
単なる妻の不注意による事故と思われたところ、家の中のぬいぐるみや家具が喋り出し、実は殺人未遂事件だったことが明らかに……って、期待したけど。
結局妻の不注意による事故なんじゃん?としか思えなかった私。
あのラストはどういう意味なんだろう?解説が欲しい( ̄▽ ̄)
葉真中顕「三角文書」
はるか未来の考古学者ヒフミーン・メイ=ジーン(笑)が、超古代文明の遺跡から発見された謎の「三角文書」を研究し、それが将棋の棋譜であることを解読するというお話。
駒の動きから将棋のルールを探るって、考えるだけで気が遠くなりそうなのに、それを地道にやってのけたヒフミーンは凄い!
宮内悠介「十九路の地図」
不登校の少女が、事故で植物状態になった碁打ちの祖父と囲碁を通じてコミュニケーションし、成長する姿を描いた作品。
機械と脳の視覚野を接続し、碁の局面を直接脳に送り込んだり読み取ったり……
本当に脳内イメージを可視化できる時代が来るかもしれないと感じました。
深見黎一郎「☗7五歩の悲願」
叙述トリック好きなので、この本の中ではお気に入りの作品です!
「人間将棋」というものがあるんですね~
ググってみたら衣装も華やかですっごく面白そう!現地で見てみたいなあ(^^)
本文中にあった、チェスの駒を擬人化した西洋の小説って何ていう作品だろう?これも面白そうなので読んでみたいです。
千澤のり子「黒いすずらん」
この作品も面白かったです。ザ・ミステリーって感じの内容。
おばあちゃんが主人公に冷たい態度を取るのも、きっと主人公のためを思ってのことなんだろうと思ったら全然違った/(^o^)\
すずらん……可憐な、そして恐ろしい花だわ。
瀬名秀明「負ける」
「潔く投了する」将棋AIをつくる、かあ。
確かにAIと対局すると、私の場合は将棋じゃなくて囲碁ですが、明らかにAI側の負けなのにずるずる対局が続くということがあります。(で、私が下手な手を打って逆転負けするという……。)
いい加減、投了してくれよ~と思ったりするのですが、「投了とは死を知る生きた人間だからこその行為であって、ならば死の概念を持たないAIは、どこまでも投了しないのが自然ではありませんか。」とは正にその通りで、人間とAIの共存について考えさせられました。
『謎々』というタイトルから、収録されているのは暇つぶしに読むようなライトな作品ばかりかと思いきや、とても奥深い作品でした。
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