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夕方が一日でいちばんいい時間なんだ――カズオ・イシグロ『日の名残り』(土屋政雄訳)

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平凡で、真面目で、ロマンチストで…自らの執事としての「品格」を疑うことなく生きてきたスティーブンス。 きっと第二次世界大戦以前の、大英帝国がまだ栄華を誇っていた時代であれば、そのまま何の疑問も抱かずに生き抜くことができたのでしょう。 でも、戦争の終結とともに社会構造が大きく変わり、変わりゆく時代について行けず取り残されようとしている。しかもそのことに気づいた今、自分は老い始めている。 なんて恐ろしいんだろう。 品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、短い旅に出た。美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々-過ぎ去りし思い出は、輝きを増して胸のなかで生き続ける。失われつつある伝統的な英国を描いて世界中で大きな感動を呼んだ英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。 ( 楽天ブックス より引用) 作品情報 『日の名残り』 著者:カズオ・イシグロ 訳者:土屋政雄 発行年月日:1990年7月77日 出版社:中央公論社

灰色の鳥――村上龍『新装版 限りなく透明に近いブルー』

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 僕の部屋は酸っぱい匂いで充ちている。テーブルの上にいつ切ったのか思い出せないパイナップルがあって、匂いはそこから出ていた。  切り口が黒ずんで完全に崩れ、皿にはドロドロした汁が溜まっている。 これだけでもう吐きそう…。 なのに読後感は意外と悪くない。 とにかく文体が素晴らしかった! 村上龍のすべてはここから始まった! 文学の歴史を変えた衝撃のデビュー作が新装版で登場!解説・綿矢りさ 米軍基地の街・福生のハウスには、音楽に彩られながらドラッグとセックスと嬌声が満ちている。そんな退廃の日々の向こうには、空虚さを超えた希望がきらめく――。著者の原点であり、発表以来ベストセラーとして読み継がれてきた、永遠の文学の金字塔が新装版に! 〈群像新人賞、芥川賞受賞のデビュー作〉( Amazon.com より引用) 作品情報 『新装版 限りなく透明に近いブルー』 著者:村上龍 発行年月日:2009年4月15日 出版社:講談社 新装版 限りなく透明に近いブルー (講談社文庫 む 3-29) 感想 ★★★★★ 購入本 圧倒的な文体の魅力 この作品の魅力は、何といってもその文体。 解説で綿矢りささんが書いているように、主人公・リュウは本当に見てるだけの存在でした。 リュウの目を通して描かれるのはドラッグとセックスに溺れる若者たちの退廃の日常で、私たち読者からすれば過激で濃密な出来事。彼らが非行に走るきっかけを描いたりしていくらでもドラマチックにできそうなのに、作者はそうはしない。 あまりにも淡々と描かれるので、新幹線の窓からあっという間に過ぎていく風景をただ眺めているような気分でした。 でも、語り手であるリュウの感情が抑えられているからこそ、彼らの世界の異常さが際立つんですよね。 リュウをはじめとする登場人物たちが抱える虚無感にも。 登場人物の心情についてはほとんど描かれていないのに、全員心の中では深く傷ついていて、でもどうすればいいのか分からずもがいている… というのがジリジリ伝わってくるので、読んでいてどんどん気分が沈んでいきました。 綿矢りささん曰く、一般的に人は「大人になれば見たくないものをわざわざ見る必要はないから目を背ける」もの。 リュウの恋人・リリーや他の仲間たちはこのタイプの人...

【文庫本】田中芳樹(2007)『銀河英雄伝説5 風雲篇』東京創元社

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※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。 作品情報 著者:田中芳樹 発行年月日:2007年10月31日 出版社:東京創元社 フェザーンを制圧下に置いた帝国軍は、今や同盟首都の目前にまで迫っていた。ヤンはイゼルローン要塞放棄を決断、民間人を保護しつつ首都へ急行する。圧倒的な優勢を誇る敵軍に対し、ヤンは奇策を用いて帝国の智将たちを破っていくが、ラインハルトの大胆な行動により、彼との正面決戦を余儀なくされる。再び戦火を交える“常勝”と“不敗”。勝者となるのははたしてどちらか。 ( Amazon.com より引用)

【文庫本】田中芳樹+らいとすたっふ(2000)『アルスラーン戦記読本』角川書店

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※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。 作品情報 著者:田中芳樹+らいとすたっふ 発行年月日:2000年5月10日 出版社:角川書店 西暦1986年8月。多彩な人物が織りなす壮大なヒロイック大河ロマンが誕生した。その名は『アルスラーン戦記』。本書は、日本のファンタジーブームの先駆けとなり、今なお読者を惹きつけてやまない物語の魅力をあますことなく案内する。物語の誕生秘話を著者自らが語るロングインタビューをはじめ、作品中の用語、登場人物を網羅した「ワールドガイド」「人名事典」そして、黒衣の騎士ダリューンが活躍する小説「東方巡歴」などを一挙収録。パルスの歴史を知りたいと思い、『アルスラーン戦記』をこよなく愛する人々にささげる一冊。 ( Amazon.com より引用)

【文庫本】田中芳樹(2014)『風塵乱舞:アルスラーン戦記6』光文社

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※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。 作品情報 著者:田中芳樹 発行年月日:2014年6月20日 出版社:光文社 城に帰還した父王アンドラゴラスの命により、事実上追放の身となったアルスラーン。五万の兵を集めるまでは帰れぬ運命となった。つき従うのは、ダリューン、ナルサスをはじめとしたわずか七人の側近のみ。一行はパルス随一の港町ギランへ―。そこで待ち受けていたのは、海上商人を脅かす海賊たちとの戦いだった。新たな冒険の始まりに胸躍るシリーズ第六弾! ( Amazon.com より引用)

【文庫本】田中芳樹(2013)『征馬孤影:アルスラーン戦記5』光文社

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※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。 作品情報 著者:田中芳樹 発行年月日:2013年12月20日 出版社:光文社 王都エクバターナ奪回へと西進するアルスラーンに、北方の強国トゥラーン軍急襲の報が入る。反転してペシャワール城に戻ったパルス軍は、智将ナルサスの指揮の下、敵の大軍を迎え撃つ。一方、虜囚の身から抜け出したパルス国王アンドラゴラスは、王妃タハミーネとともに、王都脱出を図っていた。父子は再び相まみえるのか?急展開に目が離せないシリーズ第五弾! ( Amazon.com より引用)

【文庫本】田中芳樹(2013)『汗血公路:アルスラーン戦記4』光文社

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※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。 作品情報 著者:田中芳樹 発行年月日:2013年6月20日 出版社:光文社 王太子アルスラーンのもとに、各地の諸侯や領主たちが次々と集結。瞬く間に大軍が形成されていった。新生パルス軍は、ついに西方千キロ彼方の王都エクバターナ奪還に向け出撃する。対するルシタニア軍も王弟ギスカールの指揮の下、パルス軍を上回る軍勢で迎え撃つ。大陸公路を血で染める決戦が、いま始まる!いよいよ佳境、激動の展開を見せるシリーズ第四弾! ( Amazon.com より引用)

【文庫本】田中芳樹(2012)『落日悲歌:アルスラーン戦記3』光文社

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※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。 作品情報 著者:田中芳樹 発行年月日:2012年12月20日 出版社:光文社 ペシャワール城塞に入城したパルス王太子アルスラーンの元に、シンドゥラ軍襲来の報が届く。王子ラジェンドラ率いる大軍は五万。対する軍師ナルサスは、巧みな計略を用い、たった五百の騎兵で王子を捕虜にしてしまう。王子と同盟を結んだアルスラーンは、シンドゥラのもう一人の王子ガーデーヴィとの対決へと向かうが…。 ( Amazon.com より引用)

【文庫本】田中芳樹(2012)『王子二人:アルスラーン戦記2』光文社

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※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。 作品情報 著者:田中芳樹 発行年月日:2012年8月20日 出版社:光文社 辛くも死地を脱出したアルスラーン王子ら一行は、味方の兵力が集結する国境城塞へと向かう。追っ手をかわすため三組にわかれた彼らに、ルシタニア軍、そして銀仮面の男とその配下が襲いかかる。過酷な逃避行の先に待つ運命は?さらに、パルス王国の存立を揺るがしかねない王家の血の秘密が明かされようとする…。超絶スペクタクル・ロマン第二弾。 ( Amazon.com より引用)

【文庫本】田中芳樹(2012)『王都炎上:アルスラーン戦記1』光文社

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※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。 作品情報 著者:田中芳樹 発行年月日:2012年4月20日 出版社:光文社 猛勇なる騎士軍団を誇り、不敗の国王が君臨するパルス王国。蛮族ルシタニアとの戦いでも、その勝利を疑う者はなかった。だが、味方の裏切りから、軍団は一日にして崩壊。王国は滅亡してしまう。からくも生き残った王太子アルスラーンは、勇者ダリューンや軍師ナルサスらとともに故国奪還を目指すが…。壮大な歴史ファンタジー・シリーズ第一弾。 ( Amazon.com より引用)

【新書】川村裕子(2016)『装いの王朝文化』KADOKAWA

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※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。 作品情報 著者:川村裕子 発行年月日:2016年7月25日 出版社:KADOKAWA 王朝の人々は、TPOにあわせて変幻自在に衣服を使い分けていた。またそれは、『源氏物語』や『蜻蛉日記』などの作品のなかで、着用している様子が描かれるだけではなく、他人に贈ったり、わが子のために裁縫したりと、様々な場面を演出する記号として描かれてきた。そんな装束の記号性を頼りに古典作品を読み解き、新たな解釈を提示。古典の読み解きの楽しさを味わう。 ( Amazon.com より引用)

【文庫本】伊吹有喜(2020)『カンパニー』新潮社

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※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。 作品情報 著者:伊吹有喜 発行年月日:2020年1月1日 出版社:新潮社 あなたって、どこでも傍観者なのね。家を出た妻にそう告げられ、47歳の会社員・青柳誠一は呆然と佇む。そして災厄は会社でも―。窓際部署に異動か、社が後援するバレエ団への出向、どちらかを選べと迫られた青柳は「白鳥の湖」公演の成功を目指すことに。スポーツトレーナーの瀬川由衣や天才バレエダンサー・高野悠らと共に突き進むが、次々と困難が…!読めば力湧く崖っぷちお仕事小説。宝塚舞台化記念座談会(2018)アンコール収録。 ( Amazon.com より引用) 感想 ★★★★★ 購入本 1月10日からNHK BSプレミアムで放送が始まったドラマ『カンパニー~逆転のスワン~』の原作本。 2018年に宝塚歌劇で上演されたミュージカル版から入って、原作小説に大感激した身としては、キャラクター像が原作と違いすぎてドラマ版は好きになれない(というか、第一話を観た限りでは嫌いかも。)のですが、原作未読の方には好評のようで……なかなか複雑な気分ですがまあ嬉しいです。 設定は宝塚向けに変えてあるとは言え、原作の持つ温かさや登場人物たちの直向きさは、ドラマ版よりミュージカル版の方がよく表現されていると思います。 まあ、ドラマ版も一話見ただけなので今後に期待するとしましょうか。 ……と、ドラマの愚痴はここまでにして。 『なでし子物語』 シリーズでも感じたことですが、作者の伊吹先生は不器用だけど真っすぐな心の持ち主を描くのがうまいなーと思います(^^) 妻に逃げられたうえに会社ではリストラ候補に挙がってしまった主人公・青柳は、真面目だけが取り柄の冴えない人間かと思いきや、畑違いの出向先でも仕事は卒なくこなすし、理不尽なことにも感情的にならずに淡々と対処していて、それでいて人情味もあって……実はすごくデキる男ですよね!彼は些細なことにも手を抜かずいつも一生懸命だから、自然と応援したくなるというもの。 そしてそれはヒロインの由衣や、準主役の高野も同じこと。努力家で誠実で、周りを思いやる優しさもある人たち。 そんな彼らが公演の成功に向けてひたすら闘志を燃やす姿には胸がアツくなり、たくさんのエネルギー...

【単行本】谷崎潤一郎+マツオヒロミ(2020)『秘密』立東舎

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※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。 作品情報 著者:谷崎潤一郎 絵:マツオヒロミ 発行年月日:2020年9月25日 出版社:立東舎 人気シリーズ「乙女の本棚」第16弾は谷崎潤一郎×イラストレーター・マツオヒロミのコラボレーション!小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。私はひそかに鏡台に向って化粧を始めた。夜な夜な女装をして出歩く「私」は、ある夜、昔の女と再会する。そして彼女との秘密の逢い引きがはじまった。谷崎潤一郎の『秘密』が、『百貨店ワルツ』などで知られる大人気イラストレーター・マツオヒロミによって、鮮やかに描かれる。名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。 ( Amazon.com より引用)