【新書】川村裕子(2016)『装いの王朝文化』KADOKAWA


※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。

作品情報

著者:川村裕子
発行年月日:2016年7月25日
出版社:KADOKAWA
王朝の人々は、TPOにあわせて変幻自在に衣服を使い分けていた。またそれは、『源氏物語』や『蜻蛉日記』などの作品のなかで、着用している様子が描かれるだけではなく、他人に贈ったり、わが子のために裁縫したりと、様々な場面を演出する記号として描かれてきた。そんな装束の記号性を頼りに古典作品を読み解き、新たな解釈を提示。古典の読み解きの楽しさを味わう。 (Amazon.com より引用)



感想

★★★★★
図書館本

この本、大学時代に読みたかったわー!
(卒業後に出版された本だから読めないけどさ。)

と言いますのも私、卒論のテーマが「源氏物語における服飾描写」だったんですよ。
巻末の参考文献の中に、私も読んだ本がたくさんあって懐かしくなりました(^^)

私の卒論は女君の装束(特に色の視点から)を中心に書いたので、男性の装束メインに語られるこの本は初めて知ることも多くて、とても面白く勉強になりました!
王朝の装束って着替えにすごく時間がかかりそうなのに、文献を調査した結果から、どこでもパパっと着替えていたんじゃないかと分析する筆者の指摘に、へぇーと唸ったり。
仕立てにしても、女たちがのんびりお喋りでもしながらちくちくお裁縫をしているイメージでしたが、案外スピードが要求される仕事だったと知って驚いたり。
兼家との仲が冷えてもなお装束の仕立てなどを依頼される『蜻蛉日記』の道綱母は、よっぽど染色や裁縫のセンスに優れていたんだなーと改めて感じました。

いやー、大変だったけどもう一回卒論書きたくなってくるなあ。



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