【文庫本】伊吹有喜(2020)『カンパニー』新潮社



※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。

作品情報

著者:伊吹有喜
発行年月日:2020年1月1日
出版社:新潮社
あなたって、どこでも傍観者なのね。家を出た妻にそう告げられ、47歳の会社員・青柳誠一は呆然と佇む。そして災厄は会社でも―。窓際部署に異動か、社が後援するバレエ団への出向、どちらかを選べと迫られた青柳は「白鳥の湖」公演の成功を目指すことに。スポーツトレーナーの瀬川由衣や天才バレエダンサー・高野悠らと共に突き進むが、次々と困難が…!読めば力湧く崖っぷちお仕事小説。宝塚舞台化記念座談会(2018)アンコール収録。 (Amazon.com より引用)


感想

★★★★★
購入本

1月10日からNHK BSプレミアムで放送が始まったドラマ『カンパニー~逆転のスワン~』の原作本。
2018年に宝塚歌劇で上演されたミュージカル版から入って、原作小説に大感激した身としては、キャラクター像が原作と違いすぎてドラマ版は好きになれない(というか、第一話を観た限りでは嫌いかも。)のですが、原作未読の方には好評のようで……なかなか複雑な気分ですがまあ嬉しいです。

設定は宝塚向けに変えてあるとは言え、原作の持つ温かさや登場人物たちの直向きさは、ドラマ版よりミュージカル版の方がよく表現されていると思います。
まあ、ドラマ版も一話見ただけなので今後に期待するとしましょうか。

……と、ドラマの愚痴はここまでにして。


『なでし子物語』シリーズでも感じたことですが、作者の伊吹先生は不器用だけど真っすぐな心の持ち主を描くのがうまいなーと思います(^^)
妻に逃げられたうえに会社ではリストラ候補に挙がってしまった主人公・青柳は、真面目だけが取り柄の冴えない人間かと思いきや、畑違いの出向先でも仕事は卒なくこなすし、理不尽なことにも感情的にならずに淡々と対処していて、それでいて人情味もあって……実はすごくデキる男ですよね!彼は些細なことにも手を抜かずいつも一生懸命だから、自然と応援したくなるというもの。
そしてそれはヒロインの由衣や、準主役の高野も同じこと。努力家で誠実で、周りを思いやる優しさもある人たち。
そんな彼らが公演の成功に向けてひたすら闘志を燃やす姿には胸がアツくなり、たくさんのエネルギーをもらいました!


今こそすべて。ほしいと思ったらためらうな。


前向きに頑張ろう!という勇気をくれる、とっても素敵な作品でした。



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↓「なでし子物語シリーズ」感想
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