【単行本】伊吹有喜(2017)『地の星:なでし子物語』ポプラ社

地の星 なでし子物語




※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。

作品情報

著者:伊吹有喜
発行年月日:2017年9月20日
出版社:ポプラ社
遠州峰生の名家・遠藤家の邸宅として親しまれた常夏荘。幼少期にこの屋敷に引き取られた耀子は、寂しい境遇にあっても、屋敷の大人たちや、自分を導いてくれる言葉、小さな友情に支えられて子ども時代を生き抜いてきた。時が経ち、時代の流れの中で凋落した遠藤家。常夏荘はもはや見る影もなくなってしまったが、耀子はそのさびれた常夏荘の女主人となり―。 (Amazon.com より引用)




感想

★★★★★
図書館本

『なでし子物語』シリーズの第2作。
子どもだったヨウヨとリュウカイがすっかり大人になってるー!
ヨウヨこと耀子に至っては、結婚して娘までいるんだもんねぇ。もうビックリ。

それにしても、耀子は強く……本当に強くなりましたね。
あの気弱だった少女が、自分で会社を起こして未来を切り開こうとしているなんて!
「自立と自律」、「どうして」を「どうしたら」に変えること。
大人になった燿子の中にも、青井先生の教えがしっかりと根付いていたことに嬉しくなりました。

青井先生はどうしてるんだろう。
そして『なでし子物語』から『地の星』までの間に何があったのか。

燿子が龍治と結婚していたことには本当に衝撃を受けました。
相手が立海じゃなかったことにはそれほど驚きはなかったですが、燿子と龍治じゃ年齢が……
18歳の燿子は「まるで溺れるように-龍治の腕のなかで溶けていくような思いで-」結婚したらしいから、大人の龍治が頼もしく見えて惹かれたのかな。
龍治は龍治で、燿子のことを大事に守っていることはよく分かったけど、私には、彼は夫というよりは保護者として燿子を愛しているように思えたしなあ。

「僕はヨウヨのものだったよ」と、ずっと燿子を思い続けていた立海のことを考えると切なくてたまらない。
小説を読んで胸がきゅっと締め付けられるような思いをしたのは久しぶりな気がします。
どうか天の花が地の星たちを導いてくれますように……!


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