【文庫本】ハインリッヒ・ハイネ(1966)『ハイネ詩集』(片山敏彦訳)新潮社
※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。
作品情報
著者:ハインリッヒ・ハイネ訳者:片山敏彦
発行年月日:1966年12月20日
出版社:新潮社
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感想
★★★☆☆図書館本
先日、帝国劇場でオーストリアの皇后・エリザベートの生涯を描いたミュージカル『エリザベート』を観てきたのですが、その中でエリザベートがハイネを崇拝していたといわれていたので、どんなものかと読んでみることにしました。
詩ってとにかく抽象的な表現が多くて難解…というイメージでしたが、この詩集に採られている詩は割とスッと入ってきました。
まるでおとぎ話の世界に迷い込んだかのよう。
特に草花や空、鳥が出てくるような自然の描写がとても生き生きとして魅力的でした。
恋や愛を詠ったロマンティックな詩から、別離の辛さや悲しさを詠った切ない詩まで…どれも美しいけど、どことなく暗い雰囲気もあって。
甘い調べの中にも苦味があるような、でも決して重苦しさは感じさせない…そんな詩の数々でした。
そういうところにエリザベートは惹かれたのかな。感受性豊かな人だったんでしょうね。
ハイネはユダヤ系ドイツ人として生まれたため祖国を追われるという憂き目に遭ったそうで。
予めそのことを知ったうえでこの詩集を読んだので、そういう苦しい体験が詩に現れているのかなと考えながら読むことができましたが…
知らずに読んだとしたらきっと「ハイネの詩ってずいぶん感傷的なのね~」くらいで終わっていた気がする(汗)
和歌とかもそうだけど、どういう背景で作られた詩なのか分からないと今一つ理解ができないので、解説が欲しかったな。
一応訳者のあとがきが付いていたけど、全部の詩の解説をしてくれているわけじゃないし。
ハイネが意図した通りに味わえてるかは分かりませんが、『あした目覚めて』とか『歌の翼にきみを乗せ』なんかはロマンティックで好き。
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