【単行本】谷崎潤一郎+マツオヒロミ(2020)『秘密』立東舎

※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。

作品情報

著者:谷崎潤一郎
絵:マツオヒロミ
発行年月日:2020年9月25日
出版社:立東舎
人気シリーズ「乙女の本棚」第16弾は谷崎潤一郎×イラストレーター・マツオヒロミのコラボレーション!小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。私はひそかに鏡台に向って化粧を始めた。夜な夜な女装をして出歩く「私」は、ある夜、昔の女と再会する。そして彼女との秘密の逢い引きがはじまった。谷崎潤一郎の『秘密』が、『百貨店ワルツ』などで知られる大人気イラストレーター・マツオヒロミによって、鮮やかに描かれる。名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。 (Amazon.com より引用)

感想

★★★★★
図書館本

『山月記』と同じ、「乙女の本棚」シリーズの作品。

マツオヒロミさんのT女が美しい……。
この妖艶な美女の秘密が暴かれていく過程は、ミステリー小説を読んでいるようでドキドキしました。
謎がすっかり解けてしまい興ざめした主人公の、「私はそれきりその女を捨てた」という身勝手さに呆れつつも、妙に共感してしまったり。
女は秘密を着飾って美しくなるものなのね……って、これはコナンでしたっけ?(^^;)笑


「小説としても画集としても楽しめる」という謳い文句の通り、ゾクゾクするほど美しい絵の数々!
どの絵も妖しげな色気があって、谷崎の耽美が漂う文章と相まって、謎めいた『秘密』の世界に引き込まれました。

「私の心はだんだん『秘密』などと云う手ぬるい淡い快感に満足しなくなって、もッと色彩の濃い、血だらけな歓楽を求めるように傾いて行った。」というラストは不穏ですね。



にほんブログ村 本ブログ 読書備忘録へ にほんブログ村

↓「乙女の本棚シリーズ」感想
第 4弾 梶井基次郎+げみ『檸檬』
第15弾 中島敦+ねこ助『山月記』
第16弾 谷崎潤一郎+マツオヒロミ『秘密』


百貨店ワルツ (リュエルコミックス)



このブログの人気の投稿

【文庫本】阿部智里(2014)『烏に単は似合わない』文藝春秋

【文庫本】小学館文庫編集部編(2021)『超短編!大どんでん返し』小学館

【単行本】伊吹有喜(2018)『天の花:なでし子物語』ポプラ社