【単行本】中島敦+ねこ助(2020)『山月記』立東舎
※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。
作品情報
著者:中島敦絵:ねこ助
発行年月日:2020年4月17日
出版社:立東舎
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感想
★★★★☆図書館本
う、う、美しい……!
たまたま図書館でこの本を見かけて、手に取ってみたんですけどね。
最初は『山月記』を子ども向けの絵本にしたものかな?と思って、パラパラめくってみたら、美麗なイラストと格調高い文章が並んでいて、一瞬でこの本に惹かれました!
なんでも文豪の名作×人気イラストレーターのコラボレーションを売りにした「乙女の本棚」というシリーズがあって、本作はその第15弾だとか。
文章はおそらく原文のままなので、小説として読んでも面白かったし(『山月記』ですしね)、画集として美しいイラストをうっとり眺めるのも楽しく、素敵なシリーズに出会いました(^^)
飾る用に集めようかな。
このシリーズ、担当のイラストレーターさんは毎回変わるらしく、この『山月記』の絵を担当されたのは、ねこ助さんという方。
『山月記』のイラストにも猫がたくさん描かれていました。猫は可愛いけど、本文とは関係なくて???て感じでしたが(^^;)
『山月記』は高校の現代文で習って以来、かな?
何度読んでも……というか、大人になってから読む方が、自分も社会に出て経験を積んでいる分、理解や共感が深まり、いっそう哀しく切なく、そして美しい物語だと感じました。
李徴を苦しめた「臆病な自尊心と、尊大な羞恥心」には、私自身にも当てはまるところがあって、心に強く響きました。
失敗するのが恐くて、なんだかんだ理由をつけてやらなかったり、後回しにしたり……。
ま、しょせん凡人の私は李徴ほど思い詰めることもないから、本当に彼の心を理解できているのか怪しいものですが。
李徴はさ、いっそ狂ってしまえたらどんなに楽だろうね。
「己の中の人間の心がすっかり消えて了えば、恐らく、その方が、己はしあわせになれるだろう。だのに、己の中の人間は、その事を、この上なく恐しく感じているのだ。」
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↓「乙女の本棚シリーズ」感想
第 4弾 梶井基次郎+げみ『檸檬』
第15弾 中島敦+ねこ助『山月記』
第16弾 谷崎潤一郎+マツオヒロミ『秘密』