【単行本】酒井順子(2017)『源氏姉妹』新潮社
※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。
作品情報
著者:酒井順子発行年月日:2017年1月20日
出版社:新潮社
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感想
★★★☆☆図書館本
『源氏物語』に登場する女君たちは、光源氏と肉体関係を介した「○姉妹」だった!という視点から書かれたエッセイ。
光源氏と関係を持った女君たち「シスターズ」の独白という形を取って、光源氏との馴れ初めや関係性が語られるわけですが……
なんちゅー下品な( ̄▽ ̄)
生々しくてちょっと引きました。いや、嫌いじゃないけどさ(笑)
著者の酒井さんは光源氏のことが嫌いだそうで、この本の中でも光源氏は結構ボロクソに書かれています。
シスターズも光源氏のせいで多くが不幸になった、と解釈なさっているようです。
ただ、私は光源氏のことを「女の敵」「嫌なヤツ」だと思ったことはないんですよねー。
この本に限らず、光源氏を、婦女暴行・幼女誘拐の変質者とする向きがありますが、なぜ平安時代の物語に現代の視点を持ち込むのか不思議で仕方ないです。
著者が「源氏物語は、…(中略)…、一人の男の果てしない孤独を描く物語でもあった」と述べているように、私も、源氏物語は、様々な女君たちとの愛憎を通して光源氏の苦悩の人生を描いた、壮大な人間ドラマだと理解しているので、主人公である光源氏にはそれなりに感情移入して読んでいますし。
それに、女君たちも決して不幸なだけの人生を送ったわけじゃないと思っているので、この点でもやはり共感はできなかったですね(^^;)
とは言え、性愛の視点から源氏物語を読み解く、というのは面白かったです。
末摘花と契ったことを「ノーブレス・オブリージュ」の精神からだというのは笑ってしまいました。
<エロ会>メンバーの朧月夜、軒端荻、源典侍は楽しそうでいいですよね(笑)
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