【文庫本】篠原悠希(2018)『青春は探花を志す:金椛国春秋』KADOKAWA



※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。

作品情報

著者:篠原悠希
発行年月日:2018年9月25日
出版社:KADOKAWA
金椛国帝都。一族殉死の運命から辛くも逃れ、平穏な日常を取り戻した星遊圭。名門、星家の再興を望むものの、心中は複雑。父兄のように官僚を目指すか、好きな医学の道を志すか…。そんな中、ほのかに思いを寄せる明々から報せが。故郷の村で営む薬屋が嫌がらせを受けているらしい。相手は国士太学に通う豪族のドラ息子。明々を守るため、遊圭は国士太学へ進み官僚登用試験を受ける決意をする。傑作中華ファンタジー、青春編! (Amazon.com より引用)




感想

★★★★☆
図書館本

尤仁がさ、最初の頃は遊圭に妙に隔てを作って打ち解けようとせず、やっと遊圭の招待に応じたときも、家で鳩を何羽飼っているか等を訊ねていたから、「こいつ絶対スパイじゃん!」と思って読んでいたのに全然違った(笑)

しかし……遊圭は童試に受かり、官僚への道を着々と歩み始めたところだったというのに。
この尤仁のために官位を剝奪されたうえ流刑に処されてしまうとは。
(いや、そもそもは遊圭の迂闊ぶりのせいだっけ?)

まあ、遊圭は自分の歩むべき道について悩んでいたから、かえって良かったのかもしれませんね。
流刑地で労役に就かなくてはならないとはいえ、そこは名門貴族のお坊ちゃんだからか、肉体労働をさせられるわけではないようだし。

それに良人に落とされたおかげで、遊圭は明々と同じ身分になったわけで!
遊圭のプロポーズに、ニヤニヤしてしまいました(笑)
いいなー!青春だなー!

ワクワクが止まらない展開でしたが、私が今作で一番印象に残ったのは成宗謙。
最初は威張り散らして嫌なヤツ、と思っていたけど、遊圭の保証人になることが決まってからは、保身のためもあるんだろうけど積極的に遊圭の世話を焼いていて、案外いいヤツだなと思い直しました。
遊圭は、そんな宗謙の態度を悪と考えて「おとなって、嫌だなぁ」って言っていたけど、私はむしろ公私をきっちり分けられる、好ましい人物だと思いました。
プライベートのいざこざを太学生活に持ち込まれる方が厄介だし、よほど嫌じゃないのかな。(以前働いていたとき、職場にこういうタイプの人がいたものでね。)
私がもっと若かったら、遊圭と同じような感想を持つんだろうか?と、あれこれ考えたのでした。
このシリーズは脇役にも見どころがあって飽きないです。



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↓「金椛国春秋シリーズ」感想
『後宮に星は宿る』
『後宮に月は満ちる』
『後宮に日輪は蝕す』
『幻宮は漠野に誘う』
『青春は探花を志す』
『湖宮は黄砂に微睡む』
『妖星は闇に瞬く』
『鳳は北天に舞う』
『臥竜は漠北に起つ』
『比翼は万里を翔る』
外伝『月下氷人』



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