【文庫本】田中芳樹(2014)『王都奪還:アルスラーン戦記7』光文社
※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。
作品情報
著者:田中芳樹発行年月日:2014年12月20日
出版社:光文社
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感想
★★★★☆図書館本
なんか……
感動の第一部完結!なんだけど、その割には主人公・アルスラーンの影が薄くないか?(;^ω^)
個人的には、アンドラゴラス王に全部持っていかれたなーって感じです。
アルスラーンの出生の秘密も、いざ明らかになってみればあっけなかったですね。
さすがに人買いから買ったというわけではなかったけど、王室とは何の繋がりもない、名もなき騎士の息子……というのがアルスラーンの正体だそうで。
自分の正体を知り、そして母と呼んだ人がついに自分を理解してくれなかったと知ったアルスラーンが、その怒りや悲しみを押し殺してタハミーネ王妃に別れを告げたのは本当に立派でした。
こんな息子なら、たとえ血の繋がりがなくとも愛さずにはいられない気がするけど……でも、自分の産んだ子の消息が知れないのではタハミーネ王妃がアルスラーンを憎むのも無理はないのかなあ。
いつかこの二人には和解してほしいな。
そのためにはアンドラゴラス王とタハミーネ王妃の間に生まれた娘の行方が気になるところですが……
それを知るのは魔道士のみ。
なのにアンドラゴラス王ってば、この魔道士を一刀両断してしまいましたよΣ(゚д゚lll)
魔道士の「汝の実の子に会いとうはないのか。」という脅しにも全く動じることのなかったアンドラゴラス王の不屈の精神はさすが。
まことにわが子であるなら、どのような境遇にいようと、かならず実力をもって世に出るであろう。汝などに運命を左右される柔弱者であるなら、生きていたとて詮なきことよ。無名のままに死ねばよいのだ
一作目の『王都炎上』からずっとアルスラーンを応援してきた私でも、この大胆不敵な国王陛下に思わず、敵ながらあっぱれ!と思いましたもの。(いや、敵じゃないんだけどさ。)
この人もまた王者たるにふさわしい人物だったなとしみじみ感じましたよ。
そんなアンドラゴラス王と対等に渡り合えるまでに成長したアルスラーン。
今度は宝剣ルクナバードをめぐってこの二人が争うのかと思いきや……
まさかまさかのイノケンティス王がアンドラゴラス王を殺してしまうという、思いもかけない展開に(; ・`д・´)
まあ、そのおかげでアルスラーンが父親殺しに手を染めることなく即位できるのだから、「誰も傷つかない。けっこうな結末」ですよね。
ただ、物語はアルスラーンが国王になってからも続くわけで。
第二部は蛇王との戦いがメインになるのかな?
私、魔法とか超常現象とか、いかにもファンタジーって感じの話はあまり好きじゃないんだけどな……
とにかく解放王アルスラーンの御代が楽しみです!
↓「アルスラーン戦記」シリーズ感想
『王都炎上:アルスラーン戦記1』
『王子二人:アルスラーン戦記2』
『落日悲歌:アルスラーン戦記3』
『汗血公路:アルスラーン戦記4』
『征馬孤影:アルスラーン戦記5』
『風塵乱舞:アルスラーン戦記6』
『王都奪還:アルスラーン戦記7』
『仮面兵団:アルスラーン戦記8』
『旌旗流転:アルスラーン戦記9』
『妖雲群行:アルスラーン戦記10』
『魔軍襲来:アルスラーン戦記11』
『暗黒神殿:アルスラーン戦記12』
『蛇王再臨:アルスラーン戦記13』
『天鳴地動:アルスラーン戦記14』
『戦旗不倒:アルスラーン戦記15』
『天涯無限:アルスラーン戦記16』
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