【文庫本】田中芳樹(2015)『仮面兵団:アルスラーン戦記8』光文社


※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。

作品情報

著者:田中芳樹
発行年月日:2015年6月20日
出版社:光文社
アルスラーンが即位して三年。十八歳の若き国王の下、パルスの国情は安定し、着実に国力を盛り返しつつあった。だが、奴隷制度を廃止した「解放王」に対して、特権を失った旧名門貴族たちの間には遺恨が拡がっていた。さらに、ミスルやチュルクなどの隣国も、パルスへの野心をむき出しにし始める。さらなる波乱を予感させる、大ヒットシリーズ第二部が堂々開幕! (Amazon.com より引用)


感想

★★★★☆
図書館本

おーっ!アルスラーンがパルス国王になっている!

この巻から「アルスラーン戦記」第二部スタートです。
アルスラーンが即位してもう3年経つらしい。立派な青年になって……!(T_T)
かねてより掲げていた奴隷制度廃止を成し遂げ、荘園を解体し貴族や神官の不正をただし、商業も発展させ、パルス国内は一応は安定していたところ。

が、奴隷制度を敷くミスル国がパルスにあれこれ干渉してくるので、アルスラーンたちも国内でのんびりはしていられないようです。
パルスに敗れたルシタニアの王弟・ギスカールも、今度はマルヤム国で勢力を伸ばしているし。
ヒルメスが身を寄せているチュルク国も、今すぐどうこうという訳ではないけど、虎視眈々とパルスを狙っているみたい。
シンドゥラ国は何といっても王様がラジェンドラですからね(笑)
パルスの周辺諸国は敵だらけだ。
登場人物がまた増えて覚えきれる自信がないけど、今後パルスやアルスラーンたちとどう関わってくるのかワクワクします。

同時に、蛇王ザッハーク一派も動き出したようですね。
やっぱり第二部は第一部に比べてファンタジー色が濃くなりそう?
正直、蛇王との戦いにはあまり興味ないっす/(^o^)\

ところで、ヒルメスと一緒にパルスを去ったマルヤムのイリーナ姫、お腹に子を宿したまま病死してしまったのですね。
彼女が生きていたらヒルメスも戦などせず、心穏やかに過ごせただろうに。悲しい(T_T)

ヒルメスといえば、どうやらミスル国王はかつて港町ギランでアズライールに右頬をえぐられたシャガードをヒルメスに仕立て上げ、パルスを乗っ取るつもりのようです。
シャガードのような小悪党がヒルメスに成りすますなんて不可能だろう、と思ったものの、ミスル国王に名を訊かれて「わが名はヒルメス!」と言ったあたり、案外ガッツがありますね。
ちょっと見直しましたよ(笑)

行方知れずのタハミーネの娘もキーパーソンになりそう?
タハミーネの娘のことを「私にとっても義理の姉妹にあたる人」というアルスラーンは、やっぱりまだタハミーネのことを母と慕っているのかな。
単に先王の后として礼を尽くしているだけの相手なら、その娘に対して上記のような発言はないと思うんですよね。
本当にナルサスが言うように、アルスラーンとタハミーネの娘が結ばれたらいいのになーと考えてしまいます。
その娘が実はエステル……なんてご都合展開はやめてほしいけど(;'∀')


それにしても、第二部になっても宮廷画家にして副宰相たるナルサス(笑)の言うことには頷かされるばかり。
「理想の灯をかかげつつ、現実の道を歩む。」って本当に大事だなって思いますよ。
アルスラーン戦記とは全っ然関係ないけど、昨年から続くコロナ禍の日本で、まだゼロコロナ志向の人がいるのかとうんざりしたばかりなもので(;^ω^)
まあウィズコロナが正しいかどうかは、もっと後の世になってから分かることだろうから、何とも言えないのですけど(ー_ー)


「人の世に完全を求めることはなさらぬように。完全を求める政事は、多くの罪人をつくりだし、密告を増やし、人の心を暗くいたします。」
「正義に酔うな、正義に目がくらんではいけない、自分の正義を他者に強制するな」




↓「アルスラーン戦記」シリーズ感想
『王都炎上:アルスラーン戦記1』
『王子二人:アルスラーン戦記2』
『落日悲歌:アルスラーン戦記3』
『汗血公路:アルスラーン戦記4』
『征馬孤影:アルスラーン戦記5』
『風塵乱舞:アルスラーン戦記6』
『王都奪還:アルスラーン戦記7』
『仮面兵団:アルスラーン戦記8』
『旌旗流転:アルスラーン戦記9』
『妖雲群行:アルスラーン戦記10』
『魔軍襲来:アルスラーン戦記11』
『暗黒神殿:アルスラーン戦記12』
『蛇王再臨:アルスラーン戦記13』
『天鳴地動:アルスラーン戦記14』
『戦旗不倒:アルスラーン戦記15』
『天涯無限:アルスラーン戦記16』



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