【文庫本】田中芳樹(2015)『旌旗流転:アルスラーン戦記9』光文社
※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。
作品情報
著者:田中芳樹発行年月日:2015年12月20日
出版社:光文社
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感想
★★★★☆図書館本
ヒルメス王子はどこまで堕ちていくのか……。
ただ掠奪のためにトゥラーン人を率いてシンドゥラに攻め入ったんだもんね。
誇り高き王子であった彼はどこへ……(T_T)
かつてはダリューンと互角に渡り合うだけの力があったのに、3年の間に武術にも差がついてしまったみたい。
逆上して味方のトゥラーンの武将を手にかけてしまうし。
なんかもう、ヒルメスが哀れで仕方ない。
ヒルメスの忠臣・ザンデがあんな形で死んでしまったのも悲しいなあ。
アルスラーン陣営にとっては敵とはいえ、せめてザンデくらいはヒルメスを支えてくれたら……と思っていたので。
さすがにザンデが偽ヒルメスに騙されたまま、ということはなかったので、その点はほっとしたけど。
パリザードが仇を討ってくれることに期待しますか。
そのパリザードですが。
彼女が持っていた銀の腕環にはミスラ神の姿が彫られていて、それは身分の高い者だけが使うことを許された意匠とのこと。
もしやもしや……彼女がアンドラゴラス王とタハミーネの間に生まれた娘!?
いや、でも身分の高い者ということなら単に貴族ってだけの可能性もあるわけで。王族とは限らないもんね。
なかなかさばけた感じのキャラクターで好きになれそうなので、彼女が今後活躍してくれると嬉しいです。
今作ではファランギースの過去が明らかになりました。
女神官たるファランギースに恋人がいたというのが意外。てっきり恋愛禁止かと(;^ω^)
かつての恋人の弟グルガーンが魔道に身を捧げていたというのは、ファランギースにとっては辛い展開になりましたね。
ところで……蛇王ザッハークって英雄王カイ・ホスローが封印して数百年経つんですよね?しかも伝説上の人物でしょ?
第一部で地行術(だっけ?)を使う魔道士を退治したときにも感じたのですが、有翼猿鬼は大都にひとりであらわれることはできないとか、魔道士は秘密をしゃべると同時に生命を失うとか、魔道や怪物の習性・弱点について、ナルサスはじめパルスの人たちはやけに詳しいですよね。
おそらく伝説とともに伝わっているんだろうけど、その伝承の真偽を確かめようともせず当然のこととして受け入れているのが、現代日本に生きる身としては不思議だなーと感じてしまうのでした。
↓「アルスラーン戦記」シリーズ感想
『王都炎上:アルスラーン戦記1』
『王子二人:アルスラーン戦記2』
『落日悲歌:アルスラーン戦記3』
『汗血公路:アルスラーン戦記4』
『征馬孤影:アルスラーン戦記5』
『風塵乱舞:アルスラーン戦記6』
『王都奪還:アルスラーン戦記7』
『仮面兵団:アルスラーン戦記8』
『旌旗流転:アルスラーン戦記9』
『妖雲群行:アルスラーン戦記10』
『魔軍襲来:アルスラーン戦記11』
『暗黒神殿:アルスラーン戦記12』
『蛇王再臨:アルスラーン戦記13』
『天鳴地動:アルスラーン戦記14』
『戦旗不倒:アルスラーン戦記15』
『天涯無限:アルスラーン戦記16』
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