【文庫本】田中芳樹(2020)『天涯無限:アルスラーン戦記16』光文社
※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。
作品情報
著者:田中芳樹発行年月日:2020年8月20日
出版社:光文社
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感想
★★☆☆☆図書館本
ああ、とうとう『アルスラーン戦記』シリーズ完結。
なんか……えらく呆気ないなあ、というのが正直な感想。
ひたすら駆け足で話が進んでいき、私もただただ機械的にページをめくるだけで、内容が全然頭に入ってこないという困った最終巻でした。
とは言え、それでも今まで読んだファンタジー作品の中では断トツに面白かったです!
正直、第二部に入って魔軍との戦いがメインになってからというもの、第一部の頃に抱いていたワクワク感は薄れていました。
しかも図書館で借りて読んでいた本なので、読むのを止めようと思えばいつでも止められたわけです。
にもかかわらず私は最後まで読んでしまったんだから、きっとこのシリーズにそれだけ読者を惹きつける力があったんだろうと思います。
でもなあ。やっぱり虚しいなーという気持ちになってしまう。
前巻の感想でも書きましたが、どんな人間も死ぬときは死ぬし、その積み重ねが歴史を作り上げているわけだから、アルスラーンはじめ十六翼将がほぼ全滅したことも、パルス国が事実上滅んだことも、それ自体は構わないですよ。
でもさ、扱いが雑すぎません?
敵も味方も、ろくな見せ場も与えられずに退場するキャラばかり。物語を終わらせるためだけに殺されたとしか私には思えなくて(;'∀')
しかも生き残ったエラム、ファランギース、ギーヴは、国王を失って分裂状態の祖国を見捨ててシンドゥラで五十年も平穏に生きていたというのが何ともね。(苦労もあるとは言え。)
ただ、老いたエラムがアルスラーンたちに迎えられて昇天するラストは、素直に感動しました。
アルスラーンの遺志を未来に繋ぐという責務を全うしたエラム。
本当にアルスラーンたちが迎えに来てくれたのか、はたまたエラムの夢なのかは分からないけど、みんな笑っていてくれて良かった……とウルウル。
なのに、最後が余計だったわ。
「アルスラーンとは、ひとりの王の名ではない。王としての在りかたをしめす言葉なのだ」
―完―
って、なんじゃそりゃ( ̄▽ ̄)
言わんとするところは分かるけど、虚しさが募るばかりです。
……
とまあ、いろいろ書きましたが、こんな風に文句を言えるのも完結したからこそ。
パルスの未来に思いを馳せつつ。ヤシャスィーン!
↓「アルスラーン戦記」シリーズ感想
『王都炎上:アルスラーン戦記1』
『王子二人:アルスラーン戦記2』
『落日悲歌:アルスラーン戦記3』
『汗血公路:アルスラーン戦記4』
『征馬孤影:アルスラーン戦記5』
『風塵乱舞:アルスラーン戦記6』
『王都奪還:アルスラーン戦記7』
『仮面兵団:アルスラーン戦記8』
『旌旗流転:アルスラーン戦記9』
『妖雲群行:アルスラーン戦記10』
『魔軍襲来:アルスラーン戦記11』
『暗黒神殿:アルスラーン戦記12』
『蛇王再臨:アルスラーン戦記13』
『天鳴地動:アルスラーン戦記14』
『戦旗不倒:アルスラーン戦記15』
『天涯無限:アルスラーン戦記16』
アルスラーン戦記
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