【新書】綾辻行人(2012)『奇面館の殺人』講談社
※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。
作品情報
著者:綾辻行人発行年月日:2012年1月5日
出版社:講談社
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感想
★★★☆☆図書館本
全員が仮面を被せられた状況で起きた殺人事件。
しかも殺された館の主人の死体からは、首と両手の指が切り取られていた。
となれば疑うのは、犯人と被害者の入れ替わり!
ただ、そのネタは『水車館』でやってるもんなー、と思っていたら案の定、死体の頭部が見つかってその線はナシに。
じゃあ切り取られた首と招待客の仮面は何のために?という謎は物語の終盤に明らかになるんだけど…
蓋を開けてみれば、それらは不運(?)が重なった犯人が状況を打破しようと足掻いた結果で、死体の首が切断されていたのも、招待客全員に仮面が被せられたのも、何だったら被害者が殺されたのも、犯人の当初の予定にはなかったというんだから、私も全く想定外の真相にビックリですよ!
殺されたご主人が気の毒すぎるー。
でも何より驚いたのは、やっぱり招待客全員が同姓同名だったという大仕掛け!
犯人=招待客①-<歓びの仮面>こと影山逸史(改名しての通称・影山創馬)は、……
犯人の左隣に坐っていた招待客②-<驚きの仮面>こと影山逸史(芸名・忍田天空)は、……
犯人の右隣に坐っていた招待客③-<嘆きの仮面>こと影山逸史(自称・降矢木算哲の生まれ変わり)は、……
……
と、トリックが明かされたときはすぐには理解できなくて、一瞬「は?」と混乱したけど、意味が分かったときには「おおー!」と妙に感動しました。
いや、最初のうちはね、招待客の名前が全然出てこないなーと気にはなっていたんですよ。
でも、仮面の名称で人物を識別できるから、次第に本名のことなんてすっかり忘れてしまっていました。
登場人物たちにとっては分かり切ったことだから、本名について触れないのも、何もおかしくないですものね。ペンネームや芸名、あだ名も存在したし。
最後の最後まで上手く本名を隠していたなー。
この世に同姓同名の、さらに生まれ年まで同じ、背格好のよく似た人間が6人もいるなんて「そんな都合のいいことありえねー( ̄▽ ̄)」と言いたくなるけど、エピローグの鹿谷先生と日向京助のやり取りが面白かったので、もう「『何ともはや不思議な話で』とでも云って思考停止」することにします(笑)
ところで、館シリーズもこの『奇面館』で9作目。次で最後かと思うと寂しいな。
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