【新書】綾辻行人(2004)『暗黒館の殺人(下)』講談社

暗黒館の殺人 (下) (講談社ノベルス)



※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。

作品情報

著者:綾辻行人
発行年月日:2004年9月5日
出版社:講談社
十八年前に暗黒館で起こった殺人と不可思議な人間消失の謎を追ううち、遂に玄児の口から語られる“ダリアの宴”の真実、そして恐るべき浦登家の秘密…。いつ果てるとも知れぬ嵐の中、犯人の狂気はさらなる犠牲者を求め、物語は哀しくも凄絶な破局へと突き進む!構想から完成まで、八年の歳月を費した比類なき巨大建築。ミステリ作家・綾辻行人の全てがここに結実。 (Amazon.com より引用)




感想

★★★☆☆
図書館本

下巻は面白くて、読み始めるとあっという間に小説の世界にぐいぐい引き込まれました!
途中で読むの止めないでよかった~~

視点が入り乱れるし、時系列も分からないし…と、ものすごーく読み辛かった上巻ですが、その点は仕掛けが分かればスッキリしました。
それを分かったうえで上巻を読み直すと、ちょっとニヤリとしてしまう(笑)

でもでも!夢オチはいただけないなあ。

いや、ただの夢ならそれはそれでアリだと思うのですが。
過去の出来事を夢の中で追体験してたって…( ̄▽ ̄)
下巻に入ってからは熱中して読んでいたのに、最後の最後でガックリきました。

本編の内容が過去の出来事であることや、「江南青年」が私たちが知っている「江南孝明」じゃないことは何となく予想していたけど、まさか未来(現在というべきか)の視点が過去に飛んできていたなんて。
ミステリー小説なのにそれはナシじゃない!?

『水車館』で藤沼一成の絵が事件を暗示していたり、他の作品でも超常現象の存在を仄めかしたりしていて、それは作品に怪しげな雰囲気を漂わせていて好きだったのですが…
そうはいってもこれまでの館シリーズはちゃんと現実的な(?)ミステリーだったと思うので、こんなふうに本編丸ごと超常現象でしたという非現実的なオチは好きではないです。


面白いか面白くないかでいえばやっぱり面白かったけど、この壮大な夢オチワールドは私には長すぎました。
余談ですが、シャム双生児の姉妹がとっくに分離していたことが一番の驚きでした。


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↓「館シリーズ」感想
『十角館の殺人<新装改訂版>』
『水車館の殺人』
『迷路館の殺人』
『人形館の殺人』
『時計館の殺人<新装改訂版>(上)』
『時計館の殺人<新装改訂版>(下)』
『黒猫館の殺人』
『暗黒館の殺人(上)』
『暗黒館の殺人(下)』
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『奇面館の殺人』



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