【単行本】カトリーヌ・クレマン(1997)『皇妃エリザベート―ハプスブルクの美神』(「知の再発見」双書65)塚本哲也監修,田辺希久子訳,創元社
※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。
作品情報
著者:カトリーヌ・クレマン監修者:塚本哲也
訳者:田辺希久子
発行年月日:1997年2月20日
出版社:創元社
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感想
★★★☆☆図書館本
東宝ミュージカル『エリザベート』を観たときの感動が残っているうちに読んでみました。
来年の四大都市連続公演も発表されましたしね(^^)
この本はとにかく写真やイラストが豊富で、パラパラとページをめくるだけでも楽しかったです。
(でも本文の間に資料とその解説が挿入されているのは読みにくくて仕方なかった。)
「ハプスブルクの美神」の副題通り、エリザベート皇后(以下シシィ)って本当に美しい!
シシィは写真嫌いだったそうですが、それでも19世紀後半まで生きた人なので、写真がたくさん残っていて嬉しいです。
自他ともに認めるヨーロッパ随一の美女と名高い彼女の美貌をこの目で見られるのですから!
いつかヴィンターハルターが描いたあの有名な肖像画を見てみたいな~
シシィの生涯や、彼女が生きた時代背景を解説した本文も面白かったけど、資料篇がなかなか充実していて、興味深く読みました。
特に「シシィの詩」は、皇帝フランツとのすれ違いや、それによる苦悩が綴られていて、ミュージカル『エリザベート』の一シーンを思い出しました。
地方貴族の娘が皇帝に見初められて皇后に…なんてまるでシンデレラのようなロマンティックさで、私からすれば羨ましい限りだけど、シシィの場合は不幸の始まりでしかなかったんだなということがよく分かります。
この間、『ハイネ詩集』を読んだばかりなので、彼女の詩がハイネの影響を受けているというのは「確かにその通りかも」と感じました。皮肉めいた調子とか、どことなく暗い感じとか。
彼女に詩の才能があったかどうかは…私にはよく分かりませんが(^^;)
同じく資料篇の「フランス大使館が見たオーストリア皇室」も面白かったです。
シシィの家柄への非難や、皇太子ルドルフの死による世間の動揺、シシィを失ったフランツに退位の噂があったこととか…
そんなこんなが当時の外交文書に書かれていました。
そういえば、監修の塚本哲也さんが書かれた序文の最後に、「エリザベート」という名前についての注釈があって、これには「へぇ~~」と思いました。
Wikipedia を見ると、「ドイツ語表記では『エリーザベト』が正しい」と書かれていますが、この本によると、実際のドイツ語圏における呼び方に一番近い日本語の表記は「エリザベート」が適当なんだとか。日本語的にも(?)、「エリーザベト」って言いにくいよね。
いつかウィーン版『エリザベート』を見て確かめなくては!(ミュージカルのことばっかり。笑)
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