【単行本】中山七里(2019)『もういちどベートーヴェン』宝島社
※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。
作品情報
著者:中山七里発行年月日:2019年4月3日
出版社:宝島社
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感想
★★★★☆図書館本
高校時代の親友・鷹村くんと再会するのかと思ったら違いました(^^;)
でも岬先生が彼のことを友達だと信じていると言っていたので、安堵しましたよ。
今回は音楽やミステリーの要素よりも、法曹界のあれこれが面白かったです!
必死に勉強して司法試験に受かっても、まだ試験があるんですね。大変な世界だなー。
スーパーマンの岬先生はやはりというか、司法修習生としても非常に優秀で、天生くんのおかげで音楽の道に戻ってきてくれて嬉しかったけど、そのまま司法の道に進んでもらった方が世のためだったんじゃ……と思いましたが(笑)
実習や座学の様子も、司法修習生ってこんなことを学んでいるんだー!と興味深かったです。
でも高遠寺静教官の講義中の話は私にはどうも納得できなくて、法とはいったい何なの……とモヤモヤしたり。
致命傷を与えるほどじゃないにしても、何の罪もない人を全治一カ月の怪我を負うほどボコボコにしておいて、その理由が刑務所恋しさって…そこに酌量の余地はないと思うんだけど。
更生するチャンスを与えるのが大事なのは分かるけど、うーんって感じ。
ところで……高遠寺教官って、この「静おばあちゃん」なのだろうか。
でも、静おばあちゃんが高遠寺教官なのだとしたら、このシリーズも説教くさい作品なのかなーと考えてしまって読む気が失せつつあります(汗)
……と、話が逸れてしまったので元に戻して。
今作は、肝心のミステリーの部分も最後までワクワクして読めました。
犯人は予想通りだったけど、動機は全く読めなかったなー。
蒲原教官が岬先生にティッシュペーパーを渡したのには、あんな意味があったのねー。あの場面が謎だったので、理由が分かってスッキリ!
しかし、自らの性的指向を隠すために人を殺すとは。小説の中のことだけど、そんな身勝手な動機で殺人に及ぶなんて理解できない。
最後に天生くんが「ひょっとしたら俺も何かのはずみで被告人になるとも限らない」と言ったのはフラグ?
同じグループだった三人のその後も気になるなあ。
次回作は『合唱~岬洋介の帰還~』(仮題)だそうで。
これまではドビュッシー、ラフマニノフ、ショパン、ベートーヴェン…と有名作曲家の名前がタイトルについていてタイトルも楽しみだったのに、次回は違うのですね。
バッハにモーツァルト、ブラームス、リスト等々、タイトルになりそうな作曲家はいくらでもいるのになぜ?と、興味津々です。
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↓「さよならドビュッシーシリーズ」感想
『さよならドビュッシー』
『おやすみラフマニノフ』
『要介護探偵の事件簿』
『いつまでもショパン』
『どこかでベートーヴェン』
『もういちどベートーヴェン』
『合唱 岬洋介の帰還』