【単行本】村上リコ(2012)『図説 英国執事:貴族をささえる執事の素顔』(ふくろうの本)河出書房新社
※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。
作品情報
著者:村上リコ発行年月日:2012年6月20日
出版社:河出書房新社
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感想
★★★★★図書館本
『図説 ヨーロッパの王朝』と同じ、「ふくろうの本」シリーズの一冊。
私にとって「英国執事」といえば……
この図説は、その『黒執事』の考証を担当する村上リコさんが書いたもの。
もうね、英国執事のすべてがこの一冊に詰まっているんじゃないかって思うくらいの充実ぶり!
「執事」の語源とか、主人との関係、使用人としての出世コース、恋愛事情等々、盛りだくさんの内容でした。
寝坊しすぎて解雇された執事の話とか、奥様の胸の谷間にアツアツのポテトを落としてしまった(!)執事の話とか、失敗談もいろいろ。
執事も人間なんだなーと思いましたよ。
……いや、セバスチャンのおかげで執事といえば完璧!なイメージだったもので(笑)
財テク(というか横領?)に励む執事も多かったそうで、意外な一面も見られました。
美しい奥様に憧れを捧げ続けた執事の話はステキだったなあ。
セバスチャンはいつも燕尾服を着ているから、てっきり執事の制服=燕尾服だと思っていたけど、執事は基本的に私服勤務だったそうで。
つまりは、セバスチャンのあの燕尾服も私服ってことですよね。これには、へーぇ!って感じ。
執事たちの私服は、お仕えしているご主人たちと同じ紳士の服装で、でも使用人らしく見えるようにわざと流行おくれの服を着たり品質を落としたりと、気を遣っていたらしい。大変だわ。
あと、コラム「英国貴族の称号と呼びかけ方」が面白かったなー。
当主本人と夫人、長男まではなんとか理解したけど、次男以下やその夫人、娘の敬称が超ややこしい!
使用人はこれを覚えなきゃいけなかったんだよね。いやはや、大変だわ。
当時の使用人たちがこぞって読んでいたであろうという、1890年に発売されたエチケット・ブック『上流社会のマナーとルール』。
Manners and Rules of Good Society or Solecisms to be Avoided (English Edition) |
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