【単行本】村上リコ(2014)『図説 英国貴族の令嬢』(ふくろうの本)河出書房新社


※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。

作品情報

著者:村上リコ
発行年月日:2014年9月30日
出版社:河出書房新社
栄華をきわめた19世紀から20世紀初頭の英国、由緒正しい貴族の家に生まれた令嬢たち、壮麗な大邸宅、贅沢なドレス、狩猟に晩餐、舞踏会―華やかに見える彼女たちの日常、その裏側の現実は―? (Amazon.com より引用)



感想

★★★★☆
図書館本

『英国執事』『英国社交界ガイド』が面白かったので、またまた「図説」シリーズの村上リコさんの本を借りてきました。
今回は『英国貴族の令嬢』がテーマなので、同じく女性の暮らしぶりに焦点を当てた『英国社交界ガイド』と内容がやや被っているところもありましたが、それでも面白かった!

しきたりやマナーだらけで貴族女性も楽じゃないんだな、というのは前述の2冊でも読んで理解していましたが……
それだけじゃなくて、英国貴族の、とりわけ女性には、継承制度という大きな問題があったわけですね。

貴族の家で当主が亡くなった場合、その土地や財産を相続するのは基本的に長男。長男がいなければ男系の親族。
女性の相続は認められていない時代だったので、親兄弟を亡くした女性は、例えば遠縁のいとこ等に生活の面倒を見てもらう……なんてことになったらしい。
さぞかし肩身の狭い思いをしなくてはいけなかっただろうなあ。

もし自分が貴族女性で、独身のときに親が亡くなったら?結婚できたとしても跡取り息子がいなかったら?と考えると恐ろしいですね。
継承権のない女性たちは、いかに条件の良い男性と結婚できるか、跡取りとなる男児を産めるか、ということに人生のほぼ全てがかかっているのだから。
いやはや、庶民でもいろいろな選択肢がある現代に生まれて良かったーと思ってしまいます。


ところで、本書は「令嬢」がテーマなだけあって、豪華なドレス姿の令嬢の絵や写真がたくさん!
フリルやレース大好きな私は、ページをめくるのが楽しくて仕方なかったです(^^)
《オフィーリア》を描いたミレイ作の《ハントリー侯爵夫人》、美しすぎる~~!
表紙に使われているジョン・シンガー・サージェント《ウィンダム姉妹》も素敵。



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↓「ふくろうの本シリーズ」感想
加藤雅彦『<新装版>図説 ヨーロッパの王朝』
村上リコ『図説 英国執事:貴族をささえる執事の素顔』
村上リコ『図説 英国貴族の令嬢』
村上リコ『図説 英国社交界ガイド:エチケット・ブックに見る19世紀英国レディの生活』


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