【単行本】東野圭吾(2005)『容疑者Xの献身』文藝春秋
※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。
作品情報
著者:東野圭吾発行年月日:2005年8月30日
出版社:文藝春秋
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感想
★★★★☆図書館本
綾辻行人さんの「洗礼」(『人間じゃない』収録)に、なにやら本格ミステリー界隈で、東野圭吾さんの『容疑者Xの献身』を巡る論争があったらしいということが書かれていて気になったので、その議論の元となった作品を読んでみることにしました。
東野圭吾作品はこれが初めてで、映画も見てないので(ドラマも)、登場人物やトリックなど何も知らない状態で読んだのですが……
まさに「献身」!これほど深くて純粋な愛があるだろうか。
暗闇の中を彷徨っていた石神にとって、花岡母娘は光そのものだったわけだ。
読んでいるうちにどんどん石神に感情移入してしまって、気づけば私は、どうか真相が明らかになりませんように……と願っていました。
それだけに、最後に靖子が自首する道を選んだことは、なんともやるせなくて、ズーンと重い気持ちになりました。
石神にとっては、人生のすべてを賭けて救おうとした花岡母娘に突き放されたも同然ですものね。
でも、罪を償うことなく幸せなふりをして生きていく罪悪感に潰されそうになっていた花岡母娘の気持ちも痛いほど分かるし。
詰まるところ、殺人は悲劇しか生まないということなのか。
とにかく悲しい、愛の物語でした。
そしてトリックも見事だったと思います!
アリバイトリックと見せかけて、実は死体入れ替えトリックだったというもの。
発見されたのは首なし死体だし、妙にホームレスに関する描写が挟まれるから、これは入れ替えのために殺したな……と気づいたけど、日付までは気が回らなかったです。
おかげで、どうやって花岡母娘のアリバイ工作をしたんだろうと悩みっぱなしでした。
死体を入れ替えるんだから、同じ日に殺す必要はないじゃんね。そこに気づかない私、ダメだわー。
例の「容疑者X論争」はWikipediaによると、この作品が本格推理小説か否か、という点で議論を呼んだようで。
私はそんなことより、ホームレスの指紋を残すために使われた自転車の方が、確実に盗難届が出されるかどうかも分からないのに、なかなか綱渡りの仕掛けをしたもんだなーと気になりました(^_^;)
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