【文庫本】田中芳樹(2007)『銀河英雄伝説2 野望篇』東京創元社
※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。
作品情報
著者:田中芳樹発行年月日:2007年4月27日
出版社:東京創元社
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感想
★★★☆☆図書館本
「ですが正直なところ、侯にあれほどもろいところがおありとは思いませんでした」
「おれや卿が死んでも、ああおなりではあるまいよ。ジークフリード・キルヒアイスは特別だ―特別だった。」
うう、キルヒアイス……( ;∀;)
実は第1巻の感想をアップした後、期間限定でノイエ銀英伝の一挙放送をしていることを知って、第2巻を読んでいたのを中断して慌ててアニメの方を見ました。
アニメもちょうど原作小説第2巻までの内容だったので、キルヒアイスが死ぬことは先にアニメで見て知っていたのですが……
文章で読むとアニメで見たとき以上にラインハルトの狼狽えぶりが痛々しく思えて、胸が締め付けられるようでした。
なぜか上記のミュラーとミッターマイヤーのやり取りがどうしようもなく悲しかった。
……ただ、キルヒアイスの死は、彼から銃を取り上げたラインハルトの判断ミスと作中では描かれているけど。
いやいや、セキュリティチェックはどうなってたわけ!?!?
あの場に武器を持ち込めたということは、ブラウンシュヴァイク公の遺体もアンスバッハ本人も、ノーチェックで入室できたってことでしょ?
私は、キルヒアイスが武器の携帯を許されなかったことよりも、捕虜に武器を持ち込ませたことの方が問題だと思うのですが(;^ω^)
そしてラインハルト暗殺未遂の黒幕にでっち上げられたリヒテンラーデ公が気の毒すぎる。
いくら彼が陰謀家で、将来ラインハルト殺害を企てる可能性が高かったとは言え、この件に関しては「まるきり冤罪」じゃないですか( ̄▽ ̄)
このときの帝国側陣営には、なんだかなーってモヤモヤします。
それだけキルヒアイスの死が与えた影響は大きかったということなのかもしれませんが。
アンネローゼはどうしてラインハルトから離れてしまったんだろう。
こんなときこそラインハルトの傍にいてあげてほしいのに。
二人でいるとキルヒアイスのことばかり思い出して、かえってラインハルトのためにならないから?
それにしたって、アンネローゼに
「疲れたら、わたしのところへいらっしゃい。でも、まだあなたは疲れてはいけません」
とまで言われてしまったラインハルト。辛すぎる。
ラインハルトがキルヒアイスと交わした「宇宙を手に入れる」という約束。
キルヒアイスとアンネローゼを失った今、ラインハルトを支えるのはこの約束だけなんだろうなあ。
そう考えると、とんでもない呪縛だ……。
大森望氏の解説にあった簡体字版『银河英雄传说』、欲しいぞ(^O^)
英語版も気になる。
↓「銀河英雄伝説」シリーズ感想
『銀河英雄伝説1 黎明篇』
『銀河英雄伝説2 野望篇』
『銀河英雄伝説3 雌伏篇』
『銀河英雄伝説4 策謀篇』
『銀河英雄伝説5 風雲篇』
『銀河英雄伝説6 飛翔篇』
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