【文庫本】彩図社文芸部編(2020)『文豪たちが書いた怪談』彩図社



※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。

作品情報

編纂:彩図社文芸部
発行年月日:2020年8月7日
出版社:彩図社
本書には、12人の名だたる文豪たちによる怪談が13作品収録されています。例えば、女優の体に人面の腫物が現れるという奇怪な映画を扱った『人面疽』(谷崎潤一郎)や、幻想的な筆致で人間の狂気を描いた『沼』(芥川龍之介)、グロテスクな食人嗜好小説『悪魔の舌』(村山槐多)、鏡の世界に囚われた男の物語を独特の文体で綴る『鏡地獄』(江戸川乱歩)……など、どれも違った「怖さ」が迫ってくる作品です。文豪たちが誘う、美しくも恐ろしい小説世界をご堪能いただければ、編者にとってこれに勝る喜びはありません。 (Amazon.com より引用)




感想

★★★☆☆
購入本

「怪談」なので夏に読もうと思って買ったのに、もう秋になってしまいました(^^;)

そして文豪による怪談とあって、さぞかし怖い体験ができるかと期待していたのですが……
正直、全然怖くなかった( ̄▽ ̄)笑

私の中では「怪談」と言えば単に「ストーリーが怖い話」なのですが、この本の「怪談」はどうも幻想小説を指しているのか、描写が不気味なだけで何が言いたいのかさっぱり???な話が多かったです。
そんな感受性に乏しい私なので、一作目の夢野久作「怪夢(抄)」から躓いてしまいましたが、それでも夢か現実か分からないような不思議な世界には妙に引き込まれたので、さすがに文豪と呼ばれる人の作品には、読者を引きつける力があるんだなーと感じた次第です。

この本には全部で13作品が収録されていますが、その中でも、森鴎外「心中」小酒井不木「死体蝋燭」は分かりやすくて私好みでした!
小泉八雲「耳無芳一の話」はストーリーを知っていても面白くて、ゾクゾクさせられて、この本の中だと一番好きなお話です。

耳なし芳一

美しくも残酷な話だと思ったのは、小川未明「百合の花」。いじめっ子の太郎はともかく、お花ちゃん可哀想。でも美しい……。

他の話は、面白くないわけじゃないし、表現も凄いけど……って感じ。
全体的に読む側が想像力を働かせないといけない話が多くて、ただ娯楽としてさくっと読みたかった私には難しい本でした。
谷崎潤一郎「人面疽」は映像で観たいなあ。



にほんブログ村 本ブログ 読書備忘録へ にほんブログ村




このブログの人気の投稿

【文庫本】阿部智里(2014)『烏に単は似合わない』文藝春秋

【文庫本】小学館文庫編集部編(2021)『超短編!大どんでん返し』小学館

【単行本】伊吹有喜(2018)『天の花:なでし子物語』ポプラ社