誰にでもできることを、誰にもできないくらいやろう――前野ウルド浩太郎「孤独なバッタが群れるとき 『バッタを倒しにアフリカへ』エピソード1」

飛行機がバッタの群れに巻き込まれたら、バッタが機体の隙間に潜り込んでエンジンが止まるかもしれないってマジで!?
空から殺虫剤撒いて駆除すりゃいいじゃんって思ってたけど、バッタって思いのほか厄介なんだな…

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【「新書版まえがき」より】
現在、私はバッタ博士としてアフリカでサバクトビバッタと格闘している。その模様は『バッタを倒しにアフリカへ』(光文社新書)に綴っており、本作は、それよりも前のバッ タ博士になろうかどうか思い悩みつつ、修業に明け暮れた頃に焦点を当てている。まさに「エピソード1」となる。今となっては気恥ずかしいが、青春の日々を、ひたすらバッタだ けを見つめることに捧げた青年が織りなすエピソードに、貴方をいざないたい。 (Amazon.com より引用)

作品情報

『孤独なバッタが群れるとき 『バッタを倒しにアフリカへ』エピソード1』

著者:前野ウルド浩太郎
発行年月日:2022年5月30日
出版社:光文社

感想

★★★☆☆
図書館本

『バッタを倒しにアフリカへ』の前著にあたる本で、主にバッタに関する研究成果を紹介する本。
著者がアフリカへ行く前に、日本でどのようにバッタ研究に取り組んでいたかが分かります。
正直なところ、私は義務教育レベルの生物の知識さえ忘れてしまっているので、著者の研究成果を見たところで「へぇー」「ふーん」としか思わなかったですが、文章が上手いのでなんか「わかった気になる」という、専門知識ゼロでも楽しく読める本でした。

『バッタを倒しに~』を読んだときはユーモラスな語り口のおかげで、著者のことを「面白おかしいエッセイを書く、ちょっと風変わりな研究者」というイメージで捉えていましたが、本書を読んでみると、著者はちゃんと研究を積み重ねて論文も発表している優秀な人なんだと改めて気づかされます。
「よくこんな実験思いつくな~」と脱帽する実験の数々。
しかも、その実験に使うバッタの飼育も自分たちの手でやってるんだから敬服します。

特に心に残ったのは、「誰にでもできることを、誰にもできないくらいやろう」という姿勢。
一見地道な作業でも、積み重ねたら最終的に唯一無二のものを生み出す…かもしれません。
この考え方は、研究者に限らず私たちの生き方にもきっと役立つはず。



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