【単行本】冲方丁(2021)『月と日の后』PHP研究所


※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。

作品情報

著者:冲方丁
発行年月日:2021年9月30日
出版社:PHP研究所
一族の闇、怨念、陰謀が渦巻く宮廷――藤原道長の娘にして、一条天皇の后・彰子。父に利用されるだけだった内気な少女は、いかにして怨霊が跋扈する朝廷に平穏をもたらす「国母」となったのか。『天地明察』『光圀伝』の著者が、“平安のゴッドマザー”の感動の生涯を描く。わずか十二歳で入内した、藤原道長の娘・彰子。父に言われるがままに宮中に入り、一条天皇を迎える最初の夜、彼女は一条天皇の初めての男児誕生の報を聞く。男児を産んだのは、藤原定子。夫である一条天皇は、優しく彰子に接するが、彼が真に愛した女性・定子の存在は、つねに彰子に付きまとう。「透明な存在になって消えてしまいたい」――父・道長によって華やかに整えられた宮中で心を閉ざし、孤独を深める彰子であったが、一人の幼子によって、彼女の世界は大きく変わった。定子の崩御により遺された子、敦康。道長の思惑により、十四歳の彰子がその子の母親代わりとして定められたのだ。戸惑いながらも幼い敦康を腕に抱き、母になる決意を固めた彰子は、愛する者を守るため、自らの人生を取り戻すために戦い始める――。平安王朝を新たな視点からドラマチックに描いた著者渾身の傑作長編。 (Amazon.com より引用)


感想

★★☆☆☆
図書館本

『枕』より『源氏』派の私としては、彰子にスポットライトを当てた小説って珍しい(少なくとも私は初めて出会った)から結構期待していたんだけど……
つまらなかったな( ̄▽ ̄)
ストーリー性が乏しく、全体的に説明調に思えて退屈でした。
この作品においては「怨み」が重要だから、その説明にページを割くのも分かるけど、詮子の話とかいつまで続くんだよ!って感じで疲れましたわ(^^;)

それに彰子の物語というよりは道長の物語って感じ?
栄華を極めるほどに他者からの怨みを恐れ、権勢を保つために大盤振る舞いをする。ときには対立する相手に譲歩したりもする。
優れたバランス感覚をもって一条天皇や政敵と粘り強い駆け引きを続けた道長には感じ入るものがありましたが、そういう道長像はすでに永井路子『この世をば』に描かれているからさほど目新しい感じもないし。

彰子が紫式部に出仕を促す場面は面白かったから、そっちをもっと膨らませてほしかったかな。



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