【文庫本】折原一(2021)『倒錯のロンド:完成版』講談社
※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。
作品情報
著者:折原一発行年月日:2021年1月15日
出版社:講談社
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感想
★★★☆☆図書館本
『倒錯のロンド』というタイトルとあらすじから、「入れ子構造?作中作?」と疑いながら読んでいたので「うわー!騙されたー!」っていう衝撃はさほどなかったけど、どんでん返しに次ぐどんでん返しで面白かったです。
セルフパロディ的な著者解説「解説のロンド」も面白くて好きだなー!改定前の後書も読んでみたい!
この作品は懇切丁寧な解決篇が付いているので、私みたいな面倒くさがりのミステリー初心者にはありがたいです。
永島が買った「月間推理」の予選通過作品の中に山本の名前がなかったり、白鳥は新人賞受賞が決まったばかりなのに、ファンの女性とファンレターのやりとりを経て婚約&印税もたんまりってどういうことだ?とか、「なんかおかしいぞ……???」と思いつつも、原稿を盗まれてどんどん正気を失っていく山本に胸を痛めながら読んでいたので、真相が明らかになったときには「おおー!」っと唸りましたよ。
広美が殺されるあたりで永島≠白鳥には気づいたものの(遅い)、実際に広美を殺したのが白鳥というところまでは分からなかったので、思わず「なるほどねー。」と声を出していました。
主人公が狂人だったっていうオチはもともと私の好きなパターンではあるんですけど、この作品ではそれだけじゃなくて、読んでいて京アニの放火事件を思い出したので、山本が盗作の被害者ではなく「もともと気が変だった」ということに妙にほっとした自分がいたり(^^;)
現実世界の事件では、たとえ盗作が事実であったとしても関係ない人を巻き込んでいる時点でもちろん同情の余地はないですが、この作品では思わず狂気に染まる山本に味方してしまうくらい"原作者"山本 vs "盗作者"白鳥の心理戦にハラハラドキドキしながら読んでいたので。
まあ、作中でも城戸と広美は何の罪もないのに殺されてただただ気の毒でしたね。城戸めっちゃいいヤツだったのに。( ;∀;)
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