【単行本】阿部智里(2019)『発現』NHK出版



※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。

作品情報

著者:阿部智里
発行年月日:2019年1月30日
出版社:NHK出版
物語は時空を超え、常識を凌駕する。平成と昭和、二つの時代で起こった不可解な事件。真相を求めて近づこうとする者たちを嘲笑うかのように謎は深まり、ほの暗い闇がひたひたと迫りくる。運命に導かれるようにしてたどり着いた先に待ち受けるのは、光明か絶望か。鬼才・阿部智里の圧倒的な筆力と壮大なスケール感で、ジャンルをクロスして描く渾身作! (Amazon.com より引用)




感想


★★★☆☆
図書館本

八咫烏シリーズの著者・阿部智里さんの長編小説。
実は私、八咫烏シリーズは一応文庫本で集めているものの、あまり面白いとは思っていなくてですね(汗)


(シリーズ第1作目『烏に単は似合わない』感想。)


そのため、この『発現』も期待せずに読み始めたのですが……


面白いじゃないですか!
私は八咫烏シリーズよりこっちの方が好きです。

ジャンルとしてはオカルトになるんでしょうか?

トラウマが遺伝するって、そんなことあるわけないじゃん。
さも現実にあるかのように書いてるけど、説得力ないよなー。
と、思いながら読んでいたのですが、幻覚の描写にはゾッとしたし、物語のテンポもよく、気づけばこの作品の世界に引き付けられていました。
トラウマに関しては、読み終わってから調べてみると本当にそういう説があるらしい。

自分がやってしまったことへの報いだというならともかく……
理不尽すぎる(涙)

原因が分かって、治療してトラウマから逃れられるのかと思いきや、そうではないし。
一生あの幻覚と付き合っていかなくてはいけないとは辛い。
お母さんがさつきを守ってくれそうなのが救いかな?

戦争がもたらす不条理を考えさせられる一冊でした。



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