【文庫本】村上春樹(2015)『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』文藝春秋



※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。

作品情報

著者:村上春樹
発行年月日:2015年12月10日
出版社:文藝春秋
多崎つくる、鉄道の駅をつくるのが仕事。名古屋での高校時代、四人の男女の親友と完璧な調和を成す関係を結んでいたが、大学時代のある日突然、四人から絶縁を申し渡された。何の理由も告げられずに――。死の淵を一時さ迷い、漂うように生きてきたつくるは、新しい年上の恋人・沙羅に促され、あの時なにが起きたのか探り始めるのだった。
全米第一位にも輝いたベストセラー! (Amazon.com より引用)




感想

★★★☆☆
購入本

割と最近の本だと思っていたけど、2015年発売だった(単行本は2013年)。
発売当初からタイトルが気になって読んでみようかなと思っていた本。
村上春樹の長編小説は最後まで読めた例がないので避けていたのですが、たまたま書店で目に入ったので買ってしまいました。

苦手意識のあった村上作品ですが……
これは最後まで読めました!!!

中学生のころ『ノルウェイの森』、『ねじまき鳥クロニクル』に挑戦して、1/4も読まないうちに挫折した私にとっては、最後まで読めただけでもう大感激です(笑)
すっと入ってきて、しかも物語にぐいぐい引き込まれました!
小学生時代の些細な出来事ですが、私も友人から理由も告げられずに絶縁宣言をされたことがあるので、つくるの受けたショックは分かるし、その描き方がうまいなーと引き付けられました。そうそう、私もそうだった!って。

不思議だったタイトルの謎は始まってすぐに回収されました。
主人公・つくるの友人たちは、赤松、青海……とみんな名前に色が含まれているのに、つくるにはそれがないから「色彩を持たない多崎つくる」というわけでした。

つくるはそれを気にして、色彩を持つ友人たちに比べて自分は凡庸だと思っていたようだけど。
でも、なんというか……
うまく説明できないけど、つくるの存在があったからこそ友人たちの色彩が輝いていたんじゃないかなーと思うのです。実際みんなの人気者だったようだし。


ちょっとミステリーの要素も含んだ作品で、いろいろと謎は残る最後だったけど、静かな余韻が心地よかったです。
灰田くんの存在が気になるなー。

余談ですが、作中に登場した『ル・マル・デュ・ペイ』って素敵な曲ですね。

第1年《スイス》 S160: ノスタルジア(ル・マル・デュ・ペイ)


リストの曲を弾きこなすなんて、シロは本当にピアノが上手な子だったんだなあ。



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