【単行本】夕木春央(2022)『方舟』講談社
※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。
作品情報
著者:夕木春央発行年月日:2022年9月6日
出版社:講談社
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感想
★★★★☆図書館本
いやー、やられた!私これ好きだわ。
日頃から、犯人勝ち逃げエンドのミステリーってないのかなーって思ってたので、ラストには心が躍りました。
そうそう、こういうのが読みたかったんですよー!
麻衣はよく咄嗟にあれだけの知恵が働いたなーと感心します。
二つしかないダイビング用のタンクと出入り口のモニター映像を見て状況を把握し、自分だけ助かる方法を考え出したんですから。
まさに神の啓示を受けたんだね。
読み返してみると、花が
「どうにかすんなら早くした方がいいんじゃないの?最悪、誰かがここに残らなきゃいけないんなら、他の人たちが速攻で下山して、助けを呼んでくればいい訳じゃん。水が上がって来る前に」
と至極当然のことを言ったとき、麻衣は
「でも、それだと間に合わないかも――」
と妨げようとするんですよね。
一週間の猶予があるなら、犯人が誰かはいったん置いておいて、さっさと脱出してから残った一人のために救助隊を呼べばいいのに、なぜ悠長に犯人捜ししてるの?とイライラしましたが、それこそ麻衣の狙いだったんだなあ。
麻衣には事態が膠着する方が好都合だった。タンクを背負うハーネスを作る時間が必要だったから。
そもそも脱出して助けを呼ぶ組と地下に残る組とで半数に分かれるとか、なにも地下に一人だけ残らなくてもいいじゃんと思っていたのですが、それだと麻衣は困るわけだ。
なんたって麻衣は自分一人だけ生き延びるつもりなんだから。
脱出して救助を呼ぶ道を選ばないのなら、せめて矢崎一家みたいに誰も地下に残らず岩を落とす方法を探すとかすればいいものを、翔太郎はあの非常事態の中で妙に落ち着いて推理を進めるし、なんだか犯人を犠牲にすることにこだわっているようにも思えたので、きっと彼が真犯人だなと想像しながら読んでいましたが、翔太郎も麻衣の掌の上で踊らされていたとは/(^o^)\
最後の最後で真相を告げられた柊一の絶望よ……。
と、ここまで書いて感想終わりのつもりだったんですけど。
よくよく考えたら非常口から誰か二人が抜け出して、救助隊を引き連れて残りのメンバーを助けに戻れば良かったんじゃ( ̄▽ ̄)
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