【単行本】夏山かほる(2021)『源氏五十五帖』日経BP、日本経済新聞出版本部


※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。

作品情報

著者:源氏五十五帖
発行年月日:2021年2月10日
出版社:日経BP、日本経済新聞出版本部
不朽の名作「源氏物語」は実は未完であり、秘された最後の一帖は時の最高権力者を窮地に陥れる物語ではないか。生前の紫式部が存在を秘して没した「五十五帖」とは果たして……宮中の陰謀に物語が切り結ぶ時をスリリングに描き、多くの書評に取り上げられた昨年の第11回日経小説大賞受賞作『新・紫式部日記』には続編があった。「源氏物語」に残された最大の謎という大胆不敵なフィクションである。主人公は菅原孝標女(作中では、更級)。藤原道長から「五十五帖」の探索を命じられるが、同行を命じられるのが宮中に仕えていた紫式部の娘、賢子。田舎育ちで父から与えられる物語に耽溺して成長した更級と、物語づくりに忙しい母にかまってもらえなかった賢子が幻の「源氏物語」を探していく過程で、紫式部がどういう人間であったか、「源氏物語」はいったいどのような物語であったかが浮き彫りにされていく。豊かな学識から紡ぎ出された"古典文学ミステリー"の秀作である。 (Amazon.com より引用)


感想

★★☆☆☆
図書館本

『更級日記』の作者・菅原孝標女と、紫式部の娘・大弐三位が、幻の『源氏物語』五十五帖をめぐる陰謀に巻き込まれ、その謎を解き明かす旅に出るというのはミステリーとしては面白かったし、結末も爽やかで良かったと思う。
けど、肝心の五十五帖の中身が……(´;ω;`)
『源氏物語』最後の巻が、光源氏が皇位を奪うために大元師の法(帝のみに許される鎮護国家や怨敵調伏などを祈る呪法)を修した後悔の物語だなんてツマラン!
あの内容なら、孝標女が疑問を覚えたようにそれまでの五十四帖とは趣きが全然違うわけだから、単に、紫式部は思いつきで書いてはみたけど出来が気に入らなくてボツにしただけじゃないの?と思ってしまった(汗)
そもそも、一条帝の罪の告白を紫式部が聞いてしまったとする根拠が紫色の衣だけってちょっと弱いような……?
源氏ファンとしてはちょっといただけない五十五帖でした。



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