「私は美人」と思い込む――酒井順子『私は美人』

最初のうちは面白くてページをめくる手が止まらなかったけど、美人に関する文章ばかり続くとさすがに疲れたな。
でもまあ、それだけ「美人」というテーマはネタが尽きないということか。

女に生まれたからには、誰もが目指す「美人」という山の頂点。しかし、私たちはなぜ美人になりたいのか。そもそも美人とは何なのか。性別、年齢、地域はもちろん、一人の人間の主観と客観の間においてさえ微妙に揺れる美人観。美人を目指さずにはおれない女性たちの行動と心理に潜むその本質を、持ち前の鋭い観察眼で喝破し、ユーモアで包んで読ませる、身につまされる美人論。 (Amazon.com より引用)


作品情報

『私は美人』

著者:酒井順子
発行年月日:2007年11月30日
出版社:朝日新聞社

感想

★★★☆☆
図書館本

数えたら全22篇あったけど、冒頭の「美人を自覚するという罪」にこの本の全てが集約されている気がする。

  客観的に見た時の容姿のレベルがどれほどであっても、女性であれば「見ようによっちゃ私も美人」くらいの思い込みをしている場合がほとんどなのであって、主観というものの優しさと凶暴さとを感じずにはいられません。

には同じ女性として苦笑いしつつも同意せざるを得ない。
私もしょっちゅう「奇跡の一枚」を見返してはニヤニヤしてたりします(笑)

それにしても、なぜ人は「美人」になりたいと願うのでしょうね?
あとがきにも書いてあったけど、きっと美人には美人であるがゆえの悩みや苦労があると思います。
それでも美人に憧れるのは、やっぱり「そこに山があるから」なのかな~

でも、とんでもない不幸と引き換えに、憧れの美人女優(私の場合は石原さとみ!)の容姿が手に入るとして…
そう考えたとき、今の幸福を捨ててまで取引する気にはならない自分に気づいてしまいました。
もしかすると、それなりに自分の容姿に満足しているからかも…と、またもや苦笑。
思い込みとは本当に恐ろしいものです。

だけど、「気は持ちよう」ですよね!

…ね?

そうだ、最後の「『日本海側美人一県おき説』をめぐる考察」は面白かったです。
日本海側を旅して検証したくなったのは私だけではないはず!



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