【文庫本】アーサー・コナン・ドイル(2010)『緋色の研究』(深町眞理子訳)東京創元社
※当ブログの記事は全てネタバレ前提で書いていますのでご注意ください。
作品情報
著者:アーサー・コナン・ドイル訳者:深町眞理子
発行年月日:2010年11月30日
出版社:東京創元社
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感想
★★★☆☆図書館本
人生という無職の綛糸のなかに、殺人という緋色の糸が一筋まじっている。そしてぼくらの務めというのは、その綛糸を解きほぐし、分離して、すべてを白日のもとにさらけだすことにあるのさ。
タイトルの『
恥ずかしながら「綛糸(かせいと)」の意味が分からなくて辞書で調べました。
曰く「かせから外して束にした糸」だそうで……サッパリ分からん/(^o^)\
画像検索してようやく理解できたのでした。
タイトルから「緋色」が事件に深く関わった話なのかと思っていたのですが、全然関係なかったですね(;^ω^)
ついでに言うと謎解きもあっけないというか……
やっぱりホームズの推理というのが、現代に生きる私にとっては、強引というか無理があるように思えて、古さを感じてしまったのでした。
この作品は二部構成で、第一部は事件について発生から犯人逮捕までを描き、第二部で犯人の告白により事件の背景が明らかになります。
第一部は何といってもホームズとワトスンの出会いでしょう。
名コンビ誕生の瞬間にはワクワクしました!
この後ずっと続くであろう二人の信頼関係が、この作品で生まれつつあります。
キャラクターも魅力的ですよね。
ホームズの推理を「すばらしい!」と賞賛するワトスン、そしてワトスンに認められて「まるで美貌を褒められた小娘よろしく、はにかんでしまう」ホームズ。
どちらも素直で可愛げにあふれているじゃありませんか(笑)
第二部では第一部と雰囲気がガラッと変わって、いきなり砂漠を旅する老人と幼女の物語になったので、どこか読み落としたのかとページを遡って確認したほどでした(^^;)
いや、でも私は第一部よりもむしろ第二部の方が好きですよ。
事件の背後には、開拓期のアメリカを舞台にした、悲しい恋と復讐の物語があったのですね。
最初は冗長だな~と思って読んでいましたが、もともと歴史小説が好きなのでグイグイ引き込まれました。
モルモン教のこととか、西部開拓時代のこととか、wikiでいろいろ調べているだけでも面白かったので、いずれ関連書籍を読んでみようと思います。
天才とは無限に努力しうる才能
何気にこの本の中で一番気に入った言葉。
トマス・カーライル『フレデリック大王伝』が典拠らしい。
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