教養ある悪口のすすめ――堀元見『教養悪口本』

悪口繋がりで読んでみたら、この本にも中原中也の「青鯖が空に浮かんだような顔をしやがって」が出てきて笑った。

(関連記事:天才たちのレスバ合戦が面白すぎた――彩図社文芸部編『文豪たちの悪口本』

インターネットに氾濫する悪口がつまらないのは、そこに知性もユーモアも宿っていないからだ。「こいつ無能。死ね」というツイートを見て、楽しい気分になる人はいない。「こいつ無能」と言いたくなった時は、代わりに「植物だったらゲノム解析されてる」(本書14ページ)と言おう。周囲も「えっ、何? どういうこと?」と興味を惹かれるだろうし、生命科学の発展に思いを馳せる良い機会になる。
不快さを、楽しさや知的好奇心に変えられるのが、「正しい悪口」の効能なのだ。
僕はこれを「インテリ悪口」と称して、インターネットに書き溜めてきた。<略>
皆さんが何かをバカにしたくなった時、本書を活用してほしい。僕が可能な限りの知性とユーモアを詰め込んだ「インテリ悪口」を使ってほしい。
嫌なことがあった時、インテリ悪口を使うことで、溜飲も下がるし、笑い飛ばすこともできる。ちょっとだけ勉強にもなると思う (Amazon.com より引用)


作品情報

『教養悪口本』

著者:堀元見
発行年月日:2021年12月30日
出版社:光文社

感想

★★★☆☆
図書館本

悪口本っていうかうんちく本ですね。
外国かぶれの人とか、話がやたら長い人とか…ちょっとイラっとする人を歴史や文学のエピソードを引き合いに出してユーモアたっぷりに切り取っていく、まさに教養(インテリ)×悪口という一冊でした。
載っている悪口のレベルが高くて、たぶん日常生活で使うと通じないでしょうね。そして私も使いたくても覚えられないという。

ベルばらファンとしては、「納期に遅れる人や遅刻する人」をディスるための「ヴァレンヌ逃亡事件じゃないんだから」が面白かったな~。
漫画ではフェルゼンが道に迷ったせいで遅れたことになってたけど、実際には馬車やらドレスやらを新調したり、ごちそうや荷物をどっさり馬車に持ち込んでいたりと、そもそも逃亡を目前にして呑気すぎたんですよね。

知人に一人、待ち合わせをすると必ず遅れてきて「渋滞にハマった」「電車が遅延してて」と言い訳をする人がいるんだけど、今度その人に言ってやりたい。
「ヴァレンヌ逃亡事件じゃないんだから」

…あ、「ボキャブラリーをスタックで管理してるのかよ」って言われてしまうわ。



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