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夕方が一日でいちばんいい時間なんだ――カズオ・イシグロ『日の名残り』(土屋政雄訳)

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平凡で、真面目で、ロマンチストで…自らの執事としての「品格」を疑うことなく生きてきたスティーブンス。 きっと第二次世界大戦以前の、大英帝国がまだ栄華を誇っていた時代であれば、そのまま何の疑問も抱かずに生き抜くことができたのでしょう。 でも、戦争の終結とともに社会構造が大きく変わり、変わりゆく時代について行けず取り残されようとしている。しかもそのことに気づいた今、自分は老い始めている。 なんて恐ろしいんだろう。 品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスは、短い旅に出た。美しい田園風景の道すがら様々な思い出がよぎる。長年仕えたダーリントン卿への敬慕、執事の鑑だった亡父、女中頭への淡い想い、二つの大戦の間に邸内で催された重要な外交会議の数々-過ぎ去りし思い出は、輝きを増して胸のなかで生き続ける。失われつつある伝統的な英国を描いて世界中で大きな感動を呼んだ英国最高の文学賞、ブッカー賞受賞作。 ( 楽天ブックス より引用) 作品情報 『日の名残り』 著者:カズオ・イシグロ 訳者:土屋政雄 発行年月日:1990年7月77日 出版社:中央公論社